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日清製粉グループの「自立と連合」の要となる仕事を。株式会社日清製粉グループ本社 代表取締役社長 瀧原 賢二

日清製粉グループの存在意義とグループ本社の役割

私たち日清製粉グループは、1900年に創業して以来、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是とし、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」ことを企業理念として成長・発展を続けてきました。日清製粉グループ本社(以下、グループ本社)は、2001年に日清製粉グループ分社化の際にホールディングカンパニーとして誕生しました。分社化によって各事業会社がより迅速な経営判断を行うことで、それぞれの事業分野で「自立」し勝ち残るために、グループ本社は各分野のプロフェッショナル集団として専門知識を磨き、各社の事業を支援してきました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢に起因した歴史的な食糧インフレ、コストインフレの継続等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化し、先行きには不透明感があります。そうした中で、当社グループの1番の存在意義は主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給であると考えています。グループ本社には、その司令塔としての重要な役割が求められています。事業運営をしていく上で、顧客・社員・取引先などすべての関係者を大切にし、世の中から信頼される企業を目指す必要があります。そのために、グループ本社と全事業会社が一体となって、コンプライアンスの徹底、品質保証体制の確立、デジタル技術や次世代技術の積極的な活用、持続的な循環成長の実現のためのCSR重要課題(健康的な食生活への貢献、小麦の安定的な調達、食品廃棄物の削減、気候変動への適応、水資源への取組み、健全で働きがいのある労働環境の確保等)、 ESG課題などに取り組む必要があります。当社グループをさらに良い企業グループとするためにグループ本社が先頭に立ってこうした取り組みを推進することで、グループの企業価値や競争力を高め、成長のスピードを加速させていきたいと考えています。

食の中心企業としての各事業領域における成長戦略と技術開発戦略

当社グループでは、食の中心企業として各事業領域で様々な成長戦略に取り組んでいます。製粉事業では、国内の生産体制の整備とコストダウンのため、倉敷市水島地区の新工場立ち上げや熊本製粉の買収施策を進めるとともに、米国、豪州等の海外製粉事業の収益拡大を目指しています。加工食品事業では、日清製粉ウェルナブランドの育成・浸透を図るとともに、グローバルでの最適生産体制の見直し、海外現地販売の拡大などに取り組んでいます。また、酵母・バイオ事業では、インドでイースト新工場の操業を開始する等、海外での成長戦略を着実に実行しています。さらに、当社グループで成長分野の一つと位置付けて事業の拡大を図ってきた中食・惣菜事業においては、事業を統括する「日清製粉デリカフロンティア」を設立することで事業の舵取りを強化するとともに、製粉事業や加工食品事業との連携による小麦粉、ミックス、パスタを始めとする食に関する開発力を背景に、当社グループ総和としての売上拡大を目指しています。持株会社である日清製粉グループ本社は、こうした各事業領域における様々な成長戦略に対し、コーポレート分野の専門家集団として支援を強化していきます。
また、メーカーの中長期戦略においては、技術革新による迅速なコストリーダーシップの確保やまだ充足されていない社会的ニーズを捉えた研究開発が益々重要になってきています。当社グループでは、各事業の研究開発部門が総合力を発揮することで、新規性・独自性があり付加価値の高い製品の研究開発に取り組んでいます。具体的には、中食・惣菜の加工技術(廃棄量削減のための消費期限の延長等)、健康の維持・推進(小麦の成分を中心にメタボ予防効果、脳機能やアンチエイジングに関する効果等)、省人化・省力化技術(AI、IoTやロボット活用による惣菜の自動盛り付け装置や画像検査装置等)、非食品粉体の製造・分級技術(太陽電池や二次電池の材料、光触媒等、最先端分野や環境分野向けの独自のナノ粒子作製技術、粉体の分級技術等)などがあります。グループ全体の研究開発戦略の策定や推進もまた、グループ本社が担う重要な役割です。

企業価値の極大化を目指し、ESG課題に取り組む

企業に求められる役割は単に自社とそのステークホルダーを豊かにするだけではありません。当社グループは、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長に向けESG課題に主体的に取り組んでいきます。特に世界の持続性に関わるE(環境)を経営の最重要事項と位置付けています。
当社グループは、2050年に自社拠点におけるCO2排出実質ゼロ、2030年度までに2013年度比で50%削減することを中長期目標と設定しています。そのためには、自社設備の動力源を再生可能エネルギーにするだけではなく、オフサイト(当社グループ外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討していきます。

人を大事にし、人を育てる社風が根付いている

次に、働く場としての日清製粉グループ本社についてお話しします。グループの社是の一つは「信を万事の本と為す」です。120年を超える歴史の中で、お客様との信頼関係を構築しそれを維持し続けてこられたのは、先輩たちがこの「信」を大切にして働き続けたからに他なりません。社内に目を向けても、日清製粉グループは人を大事にし、人を育てる社風がしっかりと根付いています。若手社員にも積極的に責任ある仕事を任せる風土がありますし、先輩社員たちが若手の挑戦や悩みをきちんとフォローする制度や環境も整っています。様々な領域に好奇心を持ち、成長し続けていただきたいと思います。

変化を恐れず、何事にも挑戦を

グループ本社の仕事は、皆さんの想像以上に、自ら考え、自ら行動する機会が数多くある仕事です。それぞれの分野で専門性を磨きながら、全事業会社と一体となって当社グループの競争力を高められるよう取り組んでください。当然、すぐ結果が出るような簡単な仕事ではありませんが、常に一つ上の目線で思考を巡らし、様々な経験を通して能力を磨き、人脈を広げていってください。そのためにも入社後、皆さんには直属の先輩だけでなく、部署や会社の枠を超えた交流にも励んでほしいと思います。そして、当社グループの社是である「信を万事の本と為す」「時代への適合」をいつも念頭に置き、各ステークホルダーから見てこの対応でよいのか、変えるべきことはないのか、常に見直して、変化を恐れず何事にも取り組んでいってほしいと思います。国内のみならずグローバルに活躍する機会も存分にあります。幅広い好奇心とチャレンジ精神を備えた皆さんと共に働けることを楽しみにしています。
当社グループは、様々な素材を社会の「力に変える」ことをビジネスとして展開し、製粉や加工食品事業だけでなく酵母やバイオ、プラントエンジニアリングなど様々なフィールドで、社会に貢献してきました。ぜひ、皆さんの能力・志を当社グループで社会の「力に変え」、世界中に健康で豊かな生活を届けていきましょう。