プロジェクトストーリー

食品工場建設プロジェクト
日清製粉グループならではの強みを活かし
食品工場・プロセスセンターに求められる
“理想のカタチ”を創り出す。

プロジェクト概要

お客様のパートナーとして幅広い分野の工場建設を手がけている日清エンジニアリング。設計から施工・運用までを見据えてトータルサポートできる点やグループ内外での豊富な設計・施工実績などが評価され、四国を中心にスーパーマーケットを展開するお客様から「弁当・惣菜を製造する食品工場」と「精肉を加工包装する畜産プロセスセンター」の新築工事を請け負った。このプロジェクトで中心的な役割を担った許斐、高橋、寺岡に設計のポイントやプラント部と建築部の連携、今後の展望などについて語ってもらった。

プラント部と建築部が連携して、2つの工場を同時に建設

寺岡:
本プロジェクトは、四国を中心に約140店のスーパーマーケットを展開しているお客様が、これまでは各店舗のバックヤードで作業していた弁当・惣菜製造や肉・魚加工などを「生産工場に集約したい」というご要望から始まりました。そこで私たちは、設計から施工、運用までカバーするトータルエンジニアリングができる点や作業工程・作業動線を理解したレイアウトを提案できる点、そして何より“どんな難題に対してもソリューションを提示する姿勢”などをアピールし、「弁当・惣菜を製造する食品工場」と「肉を加工包装する畜産プロセスセンター(以下、畜産PC)」の新築工事を受注しました。
許斐:
これまでは同時期に「同じお客様の複数工場を建設する」というケースはほとんどなかったのですが、本プロジェクトでは食品工場と畜産PCの建設を並行して進める必要がありました。そのような中で、社内のリソースも限られていたこともあり、食品工場は私と寺岡さんが所属するプラント部主体、畜産PCは高橋さんが所属する建築部主体というプロジェクト体制を整えました。計画や設計はお客様の運用や生産設備を把握した上で行う業務であるためプラント部が主導することが多く、施工図作成や工事は専門的な資格・知識が必要であるため建築部が主導することが多いのですが、2つの工場建設プロジェクトでは相互連携を意識しながら進めていくことにしました。
写真1
写真2
写真3

豊富な経験に裏打ちされた柔軟な発想で、お客様ニーズの一歩先へ

寺岡:
新たに建設する食品工場は、弁当・惣菜から漬物やカットフルーツまでを扱う計画で、これまで当社が手がけた中でもトップクラスの多品種工場でした。特に、惣菜と漬物を同じ工場で製造する場合は、コンタミネーション(混入)のリスクが高まります。弁当や惣菜は日配品が多く、漬物の乳酸菌が混入すると鮮度への悪影響など品質の低下につながってしまいます。そこで、当社では役員も含む検討会議を開催して、リスク低減に向けた詳細なプランを何度も検討しました。その結果、当社がこれまで手掛けてきた食品工場で培ってきたゾーニングや動線設計、エアバランスなどのノウハウを活かした“万全のコンタミネーション対策”を実現しました。同時に、同じ野菜を原料とすることが多い惣菜と漬物は共通する前処理工程をまとめて作業できる設計にして合理化しました。
許斐:
加えて、本プロジェクトでは工場で働く従業員の方々の働きやすさにもこだわりました。近年、食品工場においては人手不足が問題になりやすく、人手確保のために工場での働きやすさ、快適性などが以前より求められるようになってきています。そこで、工場単独での働きやすさを追求するだけでなく、単身者や子育て世代の方々も安心して働けるように「工場・寮・託児所」を隣接する敷地に設計しました。当社が託児所の建設を手がけるのは初めてでしたが、何事にも積極的にチャレンジする社風と、これまでに幅広いお客様と“働きやすい工場”について議論してきた経験を活かし、お客様、運営会社や協力会社とも連携しながら成し遂げることができました。
写真4
写真5

プロジェクト全体で連携して、短い工期の中で効率化・合理化を実現

高橋:
私が担当した畜産PCは、建物躯体と事務所エリアの施主・施工者が異なる企業で、当社は製造エリアの内装と建築設備工事を担当しました。予算も限られた、難しいプロジェクトでしたが、同時に進行していた食品工場と連携して仕様の検討やメーカー選定の合理化を行うなど1つのプロジェクトとして最適化するとともに、畜産PC全体として投資効果を考慮した仕様にすることで無事に完成させることができました。
許斐:
今回のプロジェクトメンバーの中で、高橋さんと私は日清製粉グループの工場建設、寺岡さんはグループ本社研究所で生産設備に関する研究をしてきた経験がありました。こうした当社グループで培った経験を活かし、社内のメンバーや協力会社と協働したからこそ、短い納期でお客様にご満足いただける工場が建設できたのだと感じています。
写真6
写真7

環境対策や最新技術の導入を通じて、時代の先端を走り続けたい

高橋:
多くの食品工場では加熱して冷却するという工程が欠かせないため、生産設備や空調換気設備で大量のエネルギーを消費しています。今後、消費エネルギーの多い部分で地中熱や太陽熱などの自然エネルギーの活用や廃熱回収などさまざまな工夫を施し、2013年度比で消費エネルギーを50%削減した工場の建設に挑戦したいと考えています。
寺岡:
当社が得意としている惣菜工場やプロセスセンターでは、これまで人手作業に頼った製造工程が一般的でしたが、最近ではロボットの開発に取り組む企業が増えてきています。当社が蓄積してきた工場建設のノウハウにロボット開発を含めた最新技術を融合させてアップデートしていくことによって、常に時代の先端を行く工場を設計・建設できるようにしていきたいと考えています。
許斐:
お客様のニーズに応えるという点で、工場の設計・施工において省エネ対応をオプションではなくベースとする設計をしていきたいです。また、工場竣工後の施設管理をフォローできるようなシステムとしてIoTを活用した予知保全に関わる仕組みづくりにも挑戦したいと考えています。結果的には、それが当社の提案力強化に繋がっていければと思っています。
写真8

Profile

写真:許斐 勝大

日清エンジニアリング株式会社
プラント第一部 担当課長 許斐 勝大このみ まさひろ

2009年入社。同年4月、プラント第二部(現在のプラント第一部)に着任。本プロジェクトではプロジェクトリーダーとして食品工場建設の計画~設計~施工管理を担当。

写真:高橋 祐介

日清エンジニアリング株式会社
建築部 担当課長 高橋 祐介たかはし ゆうすけ

2011年入社。同年4月、プラント第二部(現在のプラント第一部)に着任。2019年6月、建築部に異動。本プロジェクトでは、プロセスセンター建設の生産エリア内装・設備工事における設計および工事監理の補助を担当。

写真:寺岡 翼

日清エンジニアリング株式会社
プラント第一部 担当課長補佐 寺岡 翼てらおか つばさ

2014年入社。同年4月、日清製粉グループ本社生産技術研究所に着任。2018年1月、日清エンジニアリングプラント第一部に異動。本プロジェクトでは、プロジェクトリーダー補佐として食品工場建設の計画~設計~施工管理を担当。