プロジェクトストーリー

「統合報告書制作」プロジェクト
経営層の“スポークスパーソン”として
グループの企業価値を正しく伝えていく。

プロジェクト概要

日清製粉グループは、自社の強みやその源泉、現状の経営状況、中長期的な課題と具体的な戦略等をまとめた「統合報告書」を毎年発信している。2022年版(2022年11月発行)の制作にあたっては、2022年6月にグループ本社社長が交代したこと、また、同年10月に新しい中期経営計画を発表したこともあり、大幅な刷新が必要となった。入社以来、統合報告書の制作業務に注力し、社内のある部長からは信頼と親しみを込めて“ミスター統合報告書”とも呼ばれている越田に、統合報告書の制作業務で大切にしていることや2022年度版の制作で苦労した点等について語ってもらった。

機関投資家との対話を通じて
グループへの信頼と適正な評価を得る

私が所属するIR・SR室は、四半期ごとの決算資料や株主報告・統合報告書等の制作等を通じて、機関投資家を始めとする資本市場に関係する方々から当社グループの企業価値を適正に評価いただくことを目指し活動しています。その中で、私は決算作業と統合報告書の制作を主に担当しています。投資の判断に必要な情報を株主や機関投資家等に提供するIR(Investor Relations)活動を進めるには、機関投資家と定期的に接点を持ち、対話によって当社のことを正しく理解していただくことが大切になります。そのため、例えば、当社グループは消費者になじみ深い家庭用製品だけでなく、製粉を起点とした複数の事業で構成されたグループであること、多様な食シーンを支える事業ポートフォリオを強化していること、さらに国内の強みを活かす形で海外へ積極的に展開していることなど、その特長や成長性をきちんと正しく伝えられるよう心がけています。

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統合報告書の制作には
経営層や関係各部署との連携が不可欠

統合報告書の内容は、会社の歴史から当社グループの特長と強み、事業の紹介といった前提情報から、中期経営計画等の戦略、サステナビリティへの取り組み、財務・非財務情報まで多岐にわたります。そのため制作にあたっては先ず、経営層のみならず、さまざまな関係部署や事業会社等、幅広い関係者とのコミュニケーションを図り、あらゆる情報を把握することが必要になります。さらに、そうして得られた情報を機関投資家の皆様に分かりやすく伝えられるように見せ方を工夫しなければなりません。扱う情報の範囲が非常に広く、誌面の具現化に苦慮することもありますが、統合報告書はグループの経営を伝えるためのツールとしてとても有用だと考えており、重要な仕事を任されているという責任感でそういった状況も乗り越えています。また、当社グループは日本人の主食の1つである小麦粉を中心に幅広い事業フィールドを持っており、言い換えれば“食のインフラ”を支えているともいえます。そんな企業グループの“スポークスパーソン”であることも誇らしく、やりがいの感じられる職務だと思っています。

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関係部署と密に連携をとり、
中期経営計画の発表から短い制作期間の中でも内容の濃さや質の高さを追求

2022年度版の統合報告書の制作においては、2022年10月に発表した「中期経営計画2026」で描かれた成長ストーリーをどう伝えるかがポイントとなりました。今回の中期経営計画では、アグレッシブな成長を果たすという数値目標を公表しました。さらに、その中では海外事業の力強い成長にも言及しています。中期経営計画に込められた「意図」や「意思」、その目標をどのように達成していくのかを機関投資家の皆様にいかに分かりやすく伝えるかが難しく、経営陣と何度も議論し、ページによっては何度か全体を作り直すといったこともありました。また、統合報告書の制作は、10月に控えていた中期経営計画の発表と時期が重なっており、最新の重要事項として中期経営計画の内容も入れ込む必要がありました。中期経営計画の具体的な内容が固まる前から各部署と誌面の方向性について議論をし、試行錯誤しながらカタチにしていく過程では、関係部署のメンバーも、通常業務を持つ中で難しいお願いをしても「やってみましょう!」と前向きに協力してくれたりと、とても助けてもらいました。おかげさまで「統合報告書2022」はこれまでにないくらいの自信作となりました。

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より幅広い知識を身につけて
グループの魅力を効果的に発信していきたい

機関投資家の皆様と対話する上では、財務面に関する知識だけでなく、ESGを始めとした非財務面等、幅広い知識を身に付けておく必要があります。また、それらの知識の前提となる情報は年々変化していくため、その変化を認識して情報をアップデートしていくことも大切です。私はそうした知識のキャッチアップをするよう心がけており、その内容は機関投資家との対話で活用するだけでなく、IR・SR室のメンバー、さらには社内全体へと展開していくことで、当社と資本市場の認識にずれが生じないようにすることも私たちの重要な役割の一つだと認識しています。そして今後は、小麦粉を中心に“食のインフラ”を担う当社グループのIR担当として、グループの魅力を機関投資家の皆様に正確かつ効果的に伝える手段やアプローチについて知恵を絞り続け、統合報告書に限らずIR・SRの業務全般においてもさらに工夫していきたいと考えています。

Profile

写真:越田 晃正

株式会社日清製粉グループ本社
総務本部 IR・SR室 主査 越田 晃正こしだ てるまさ

2019年入社。同年4月、総務本部 IR・SR室に着任。以来、IR業務に従事する。前職では情報システム、経理、IRを担当していた。