山口 健夫山口 健夫
山口 健夫山口 健夫
プロジェクトの概要と現在の仕事内容
大きな仕事を
成し遂げる秘訣は、
小さな仕事の
積み重ね。
その真意とは。

日清製粉グループでは、M&Aを含む海外事業の展開にも力を入れている。日清製粉グループ本社の山口は、日清製粉の海外子会社ミラー・ミリング・カンパニーLLCによる米国4工場のM&Aプロジェクトに参加。グループ会社である日清製粉海外事業本部のプロジェクト責任者とともに地道な確認作業や粘り強い交渉に従事し、同プロジェクトの成功を影から支えた。今回は、事業拡大の基本戦略やプロジェクトに対する想い、さらにグループ本社としての関わり方などについて、山口本人に当時を振り返り、語ってもらった。

プロジェクトの背景と当時の役割

日清製粉の事業拡大施策について、具体的に教えてください。
事業拡大を図る手法には、大きく分けて二つの手法があります。一つは、現地に自社工場を建設し、当社単独またはパートナーと合弁会社を設立し、経営していくというものです。もう一つは、現地企業・工場の買収です。現地に自社工場を建設する手法は、時間は掛かりますが、当社の意向に合わせた経営が可能です。一方、買収は企業文化の融合という課題はありますが、短期間で新規事業の展開が可能というメリットがあります。ターゲットとする市場の成長性や対象会社の強みや弱みを詳細に分析して、どちらの手法が当社にとってメリットがあるのか、検討を行っています。
アメリカでのプロジェクトが始まった背景と当時の役割について教えてください。
日清製粉グループの中核事業である製粉事業を担う日清製粉、その海外子会社の一つにミラー・ミリング・カンパニーLLC(MM社)という会社があります。そのMM社がアメリカにおいて4つの工場を買収するという計画を打診してきたことが始まりです。そういう経緯から、MM社を所管する日清製粉海外事業本部の主導で案件に取り組み、私たちはグループ本社という持株会社として、海外事業本部をサポートする形でプロジェクトに参加しました。また、私自身の役割として、買収交渉や買収後の経営統合施策をスムーズに進めるサポートができればと考えていました。
買収交渉で心掛けていることはありますか。
M&Aは時間も労力も相当かかります。また、対象会社との交渉の中で、当社として「ここは絶対譲れない」という条件も出てきます。時には、交渉が中断したり、対象会社が様々な駆け引きを仕掛けてくることもあります。そういう時にこそ、「本件買収が当社グループに成長をもたらす案件であるかどうか」という原点にもう一度、立ち返ることが非常に大切です。買収価格が当初、検討した企業価値の範囲内か、買収後本当に既存事業と相乗効果が発現されるのか等々、本社のマネジメントも含め、何度も議論しました。原点に立ち返ることで、買収の目的が改めて明確になり、時には相手の理不尽な要求にも、毅然として対応することができます。ただ、いざプロジェクトが進むにつれ、買収の金額が相当に大きかったこともあり、失敗できないという思いから私自身かなり緊張していたのも事実です。また、買収は華やかなイメージがありますが、実はそうではありませんでした。契約に至るまでには、買収金額だけでなく、いくつもの契約条件を決めていかなければなりませんが、かなり高度な内容になるため、社内外の専門家(生産、経理財務、法務)とも綿密に連携する必要があります。細かい文言等の話は弁護士の方と一緒に進めていきますが、本当に細かい仕事の積み重ねや地味な確認作業の連続、それらの積み重ねが大切ということを非常に学びましたね。細かいところほど手を抜いてはいけないという、仕事の基本を改めて学びました。
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見事契約成立。そして事業統合へ

見事契約成立となると、その後はどんな仕事があるのでしょうか?

買収契約を締結した後に、“クロージング”という重要なフェーズが待っています。クロージングとは、実際に買収代金を支払い、売主から対象資産を譲り受けることですが、その前提として、売主からの事業引き継ぎが完了していなければなりません。具体的には取引先、従業員等の引き継ぎや、各種契約、ライセンス、許認可関連等の名義書換などの業務の引き継ぎです。それらが完結して初めてクロージングできるため、契約締結後も現地に滞在し、業務引き継ぎの進捗管理等をサポートしていました。

当然ですが、業務引き継ぎは、売主や専門家と英語でやりとりするので、大量の英語の資料を読みこなす作業も大変でした。

クロージングが終わったら、山口さんの仕事もようやく完了ですか?
実は、クロージングは日本語に直訳すると「終了」ですが、新たな始まりでもあるわけです。本件M&Aの効果が発現されるかどうかは、買収後の「事業統合」の取り組みにすべて掛かっていると言っても過言ではありません。私の場合は本件を主導していた日清製粉海外事業本部にそのまま異動し、引き続き買収した4工場が機能するような会社の仕組みや体制の構築等の企業統合業務に従事しています。所謂、経営統合施策(Post Merger Integration:PMI)と言われる業務です。具体的には、例えば、元は違う会社同士の人たちがMM社、ひいては日清製粉グループの一員となるわけですから、組織の整備や新たに統一された人事制度や仕事のルールをつくる必要があります。相手の会社のいいところは取り入れて、最良の仕組みをつくることが重要です。買収交渉からPMIまですべてに関わるチャンスはそうないので、本当に貴重な経験を積ませていただいています。
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改めて感じる、日清製粉グループ本社の魅力

改めてこのプロジェクトを通して感じた日清製粉グループ本社の魅力は何ですか?
日清製粉グループ全体として、とにかく海外に向けた仕事に対して様々な挑戦の機会があると思いますね。実際、日清製粉グループの複数の事業会社が関係するM&A案件等では基本的にグループ本社が主導役を務めます。案件自体をリードするプロジェクトリーダーとして活躍するチャンスも今後より出てくると思います。
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プロジェクトの未来、今後の目標

最後に、今後のプロジェクトの行方や個人の目標などを聞かせてください。
現在は、グループ本社から異動し、日清製粉の海外事業本部に在籍しています。M&Aというのは買って終わりではなく、その後の立ち上げが一番重要。M&Aに携わったスタッフとしてしっかり会社を立ち上げると同時に、次回は事業会社の立場からM&A案件に携わって、海外事業の成長に貢献したいと思っています。

※所属部署は取材当時

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