当社では、従来からロングセラー商品であるパワーサプライシリーズの価値をさらに高めるために新成分の配合などの検討を継続しています。そうした中で、アンチエイジングに関わる最新の注目成分であるNMNを配合した「パワーサプライNMN」の開発が始まり、「パワーサプライ」シリーズのリニューアルと並行して進めることになりました。私はこれまでさまざまなサプリメントの開発に従事してきましたが、当社の主力商品の一つである「パワーサプライ」シリーズの開発には携わったことがありませんでした。そこで自ら開発担当を志願したところ、担当させていただくことができました。リニューアルプロジェクトであっても、品質やスペック、時代の変化などの理由で製品化されないケースが少なからずあります。そのため、開発当初から「必ずリニューアルを実現させたい」という強い想いを持ち、チームのメンバーと協力してプロジェクトに取り組んでいました。

NMNは、“次世代成分”として世界中の研究者たちから注目されている成分です。これを体内に取り込むと、エネルギーを生み出す際の中心的な役割を果たすNAD（ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド）という補酵素に変換されるため、健康寿命の延伸や“人生100年時代”への貢献が期待されているのです。というのも、人間の体内にあるNADは年齢とともに減少し、生み出すエネルギー量も低下していきますが、それを補うためにNMNの摂取が有効であることが分かっています。そこで、私たちはNMNを中心に考えた配合設計にこだわりました。実は、NMNは貴重な（高価な）原料のため、製造中のロスをいかに最少化するかが課題になりましたが、製造所と協力して何とか製造工程を改善し、ロスを極力少なくすることに成功しました。また、開発ではNMNをカプセル化した際に“変色”することが課題になりましたが、皆で協力しながらさまざまな検討や研究を重ねた結果、ハードカプセル基材を見直すことによって解決することが分かり、当社独自の特許としてNMNの変色防止を訴求した特許を出願しました。

さらに、2022年9月に上市した「パワーサプライ」シリーズのリニューアルでは、「粒の数が多くなりすぎている」「高齢のため何粒も飲むのがつらい」というお客様の声を起点として、その負担を軽減することをプロジェクトの第一目標にしました。また、同シリーズの中に含まれるタブレットの1つであるコエンザイムQ10についても「飲みづらい」という声があったため、その改善も目指しました。総粒数を減らすには、単純に一つの粒により多くの成分を配合すれば良いというわけではなく、配合禁忌（配合による悪影響）を避けて品質や機能を確保するため、最適な配合を見極める必要があります。例えば、ビタミン粒は、配合上、1つの粒に収めると分解しやすくなる成分があり、組み合わせによっては賞味期限を担保できなくなることがあります。そのため、粒数をできるだけ増やさずに品質を維持する組み合わせの検討を約1年にわたって繰り返しました。この作業にはとても苦労しましたが、最終的にはビタミンカプセルは従来の4粒から2粒に、ミネラルタブレットも従来の4粒から2粒にすることに成功し、独自の栄養成分量はそのままに最大11粒から7粒へと減らすことで、飲みやすさを大きく向上させることができました。

お客様に製品を信頼して買っていただくためには、自社で成分や配合、製造工程などをしっかりと確認し、品質に責任を持てることが重要だと考えています。そうした意味でも、日清ファルマが研究から製品開発までの一貫体制をもっていること、すべてのメンバーが科学的・客観的根拠に基づいた開発を常に心がけていることは、高い品質と信頼性を実現する上での強みになっていると実感しています。今後、お客様により納得・信頼してご愛用いただくためにも、引き続き最新の研究成果等の情報を収集して正しく精査し、有益な情報があれば開発に取り入れ、さらに高い品質の製品づくりにつなげていきたいと考えています。そして、「パワーサプライNMN」や「パワーサプライ」シリーズを広くご愛用いただいて、より多くの方が年齢を重ねても元気に活躍できるようになれば嬉しいです。